画像工学

放射線写真学のところにある特性曲線(H&D曲線)を微分するとグラジエントカーブが 得られます.また当然ですがこの曲線を積分すると特性曲線に戻ります.
放射線画像のコントラストには,被写体コントラストとフィルムコントラストがあり以下の関係にあります.
(放射線画像コントラスト)=(被写体コントラスト)×(フィルムコントラスト)
グラジエントカーブではフィルムコントラストを全濃度域に亙って解析的に表示すること が可能なため大変有用ですです.
グラジエントの値は G であらわします.式は以下の通りです.
G(D)=dD/dE
自分で測定したデータでグラジエントカーブを描かせてみましょう。(データが無い場合は放射線写真学のページ
にあります)デジタルの場合微分は差分で計算できるので、特性曲線のデータを適当な関数で近似してlogHが0.01程度の間隔となるように離散化します。
これを表計算ソフト何度に読み込んで差分を計算します。これでグラジエントカーブができあがります。また斉藤の式を用いれば計算により連続的な
グラジエントカーブが得られます。
※Boots.exeでは特性曲線を斉藤の式で近似してその微分を計算しその結果であるグラジエントカーブのデータを特性曲線の
近似データと一緒に0.01間隔で保存してくれます。詳細はReadme.txtをご覧下さい。

応答関数(レスポンス)は,入力に対する出力の関係を表します. 画像工学では,入力信号に正弦波を考えてその周波数毎の応答を強度を入力を 1 と してあらわしたものが,この MTF です.この場合周波数の単位は時間軸で考える 場合の,(Cycle/s) ではなくて空間周波数,という距離の逆数になります. 一般的には (Cycle/mm) がよく用いられるようですが,この場合,人間の解像限界は 約 5 (Cycle/mm)くらいだといわれています.空間周波数を加味してレスポンスを考える 場合は MTF(u) と表示する場合があります.
例えばスクリ−ンフィルムシステムの MTF を考える場合フィルムとスクリーンの MTF は 以下のように考えることが出来ます
MTF(u) = MTF(film) × MTF(screen)
システムの総合の MTF は各システムの MTF の積の形であらわせます.これがレスポンスを空間周波数領域であらわすメリットといえるもので,もしこれを空間領域で表現しようとすれば,それぞれの 重畳積分になってしまいます.積は積分よりはるかに簡単なので,われわれは, MTF を用いるのです.
自分で測定したデータを計算してMTFを描いてみましょう。(データが無い場合は放射線写真学のページにあります。また画像に
関する実験書等にも使えるデータが掲載されています。)矩形波チャート法でもスリット法でもどちらでも良いですが得られた結果は空間周波数で0.01程度の
間隔で保存しておきましょう。(後でNEQ(u)を計算するときに便利)
※MCD.exeは矩形波チャート法で測定されたデータを入力すると自動的にMTFを計算してくれます。結果は空間周波数0.01間隔の
データとして保存してくれます。詳細はReadme.txtをご覧下さい。

画像にも雑音が存在します.これを定量的に扱うために,周波数解析の手法を応用して ウイーナースペクトル(いわゆるパワースペクトル)を用います.各空間周波数成分 のもつパワー(周期の振幅に当たるもの)を測定して図のように表示します. 画像ではパワーに当たるものが存在しないため,これを提案したウイナーの名をとって ウイナースペクトルといい WS であらわします.また空間周波数を加味した場合 WS(u)と表示する場合もあります.
自分で測定したデータからウイナースペクトルを計算してみましょう。これはコンピューターに専用ソフトでもないと計算が大変かもしれません。
一応一般的なのは直接フーリエ変換法ですが最低でも数十回程度のFFT演算をしないと結果が得られません。それをさらに平滑化スプライン等で滑らか
にして出来上がりです。結果はできればスプライン補間などをさらに行って空間周波数で0.01間隔程度の均等間隔にし保存しておきましょう。
(MTFとWSを使ってNEQ(u)を計算するときに便利)
※WSCalc.exeは写真濃度をマイクロスキャンしたデータを計算しウイナースペクトルを計算するソフトです。
アーカイブの中には写真濃度をマイクロスキャンしたデータも5本含まれています。したがって測定装置を持っていない方でも計算し描画することが
できます。またデータはランダム関数などを使って作成したものもデータ形式さえ合えば計算させることができます。詳細は
Readme.txtをご覧下さい。
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NEQとは画像の物理量を用いた画像の総合評価の指標ということが出来ます.
上記の G , MTF(u) , WS(u) を用いる関数で,画像の S/N 比をあらわします.
NEQ(u)=(log10e)2 · G2 · MTF(u)2 / WS(u)
上の式で信号を決定しているのが,レスポンスの二乗で,雑音を決定しているのがウイナースペクトルです.(log 10e)2 · G2 は WS(u)に含まれる濃度の成分を線量に変換する係数です。
単純な画像(針とビーズの写真などが歴史的に有名)ではこの式で求まる NEQ(u) の値と画質との間には相関があります.しかし一般的な胸部X線写真や手足のX線写真では NEQ(u) の値と画質との間の関係に相関が在るとは一概に言えません.
上式を使ってNEQ(u)を計算してみましょう。(log10e)2=
0.1886・・・、G2 は 実習1.で得られたグラジエントカーブのデータから測定された
写真濃度のG値を読みとって下さい。 MTF(u) と WS(u) は実習2.および3.で行ったデータを読み込んで使用します。計算には
Excelなどの表計算ソフトで良いでしょう。それほど大変な計算ではないです。
※美しいNEQ(u)の曲線を得るためには、やはりきれいなMTF(u)とWS(u)のデータが欠かせません。これが振動していたり、ばらつきが大きいと、後から
スプラインなどで滑らかにしようとしてもうまくいかないです。
※※ちなみにMCD.exeとWSCalc.exeは非常に滑らかで再現性の良い結果を与えてくれます。
是非試してみて下さい。